【2026年最新】社内データを外に出さないAI「ローカルLLM」とは?フツパーの新機能から考える中小企業のAI活用

社内サーバーとパソコンでローカルLLMを活用するイメージ

「ChatGPTなどのAIを仕事に使ってみたい。でも、会社の機密情報を入力しても大丈夫?」

生成AIの活用が広がる一方で、顧客情報や技術資料、製造ノウハウなどの取り扱いに不安を感じている企業も多いのではないでしょうか。

そんな中、2026年10月26日、株式会社フツパーは、社内で動かせる生成AI「ラクラグ」を大幅にアップデートすると発表しました。

2026年11月1日から正式提供を開始した今回の新機能では、AIが社内資料を調べるだけでなく、データの集計や報告書の作成まで支援する「AIエージェント」へと進化しています。

今回は、ローカルLLMという技術の仕組みやメリット、導入時の注意点について、中小企業の視点から解説します!

目次

ローカルLLMとは?会社の中で動かせる生成AI

DX担当 ちゃま男

先輩!会社の機密情報を外に出さないAIがあるって聞いたんですけど、そんなことできるんですか?

ちゃま男の先輩

できるよ。
「ローカルLLM」という方法を使えば、自社のサーバーなどで生成AIを動かせるんだ。
ただし、ローカルで動くことと、情報漏えいの危険がゼロになることは別だから、そこは注意してね。

そもそもLLMって何?

LLMとは「大規模言語モデル」の略で、人の言葉を理解したり、文章を生成したりするAIの基盤技術です。

ChatGPTなどにも、こうした技術が使われています。

一般的なクラウド型AIサービスでは、ユーザーが入力した情報をサービス提供側の環境に送信して処理します。

一方、ローカルLLMは、自社のサーバーや管理するコンピューター上でAIモデルを動かす方式です。

クラウドAIとローカルLLMの違い

比較項目クラウド型AIローカルLLM
AIが動く場所サービス提供側の環境自社などが管理する環境
初期設備比較的少なく始められる場合が多い専用サーバーなどが必要な場合がある
データ管理契約・サービスの設定に依存自社側で管理しやすい
AIの更新提供事業者が実施することが多い自社または導入事業者による対応が必要
主な課題外部送信、契約条件、利用料設備投資、保守、セキュリティ運用

なお、クラウド型AIがすべて危険という意味ではありません。

企業向けのクラウドサービスにも、データの学習利用制限やアクセス管理などの仕組みがあります。

どちらが適しているかは、自社の情報管理方針や利用目的によって異なります。

フツパーの「ラクラグ」は何が進化したの?

今回発表された「ラクラグ」は、もともと社内の資料を検索し、その内容をもとに質問へ回答する用途などを想定した製品です。

今回のアップデートでは、資料を調べるだけでなく、作業を進めて成果物を作る機能が強化されました。

① AIが必要な社内資料を探して回答する

例えば、

「昨年発生した設備トラブルと、その対策をまとめて」

と質問すると、AIが関連する資料を検索し、内容を確認しながら回答を作成する仕組みです。

資料が見つからない場合は、検索方法を変えて調べ直す機能も追加されています。

② ExcelやCSVを集計する

例えば、品質管理担当者が複数のExcelファイルから不良件数を集計する業務を考えてみましょう。

従来は、担当者がファイルを開き、必要な数字を集めて集計していました。

今回のラクラグでは、AIによるExcelやCSVの集計、表やグラフの確認にも対応しています。

ただし、AIが集計した数字も無条件に正しいとは限りません。集計条件や元データとの照合は必要です。

③ WordやPowerPointなどの資料も作成する

集計や調査した結果を、Excel、Word、PowerPoint、PDFなどのファイルとして出力する機能も提供されています。

例えば、過去の品質不良報告書から類似事例を調べ、対策の候補を整理して報告書にまとめるといった使い方が考えられます。

④ 調べた内容を社内の知識として残す

今回の特徴の一つが、AIによる調査で得られた知見を、出典付きで蓄積する機能です。

例えば、過去に発生した設備の不具合原因や対応内容が蓄積されれば、別の担当者が似た問題に直面した際の参考情報になります。

DX担当 ちゃま男

なるほど!
今まではAIに質問して答えをもらうだけだったのが、資料を探したり、集計したり、報告書を作ったりできるんですね!

ちゃま男の先輩

そうだね。
こうした複数の作業を進めるAIを「AIエージェント」と呼ぶことがあるよ。
ただ、AIが作業を進めてくれるようになっても、重要な判断を人が確認することは必要なんだ。

出典:フツパー公式発表|ラクラグのAIエージェント機能

本当に社内データを外へ出さずに使えるの?

今回のラクラグは、自社に設置したサーバー内で処理を完結させる構成に対応しています。

この構成で適切に運用すれば、機密資料を外部のクラウドAIへ送信せずに利用できます。

一方、ラクラグにはAWSなどのクラウド上に専用サーバーを構築する選択肢もあります。

つまり、製品を導入するだけで、どの構成でも情報が社外へ出なくなるわけではありません。

導入前には、AIへの入力内容や社内資料がどこで処理され、保存されるのかを確認する必要があります。

ローカルLLMでもセキュリティ対策は必要

社内でAIを動かす場合にも、別のリスクがあります。

例えば、利用者の権限設定を誤ると、本来は閲覧できない人に人事資料や機密情報が表示される可能性があります。

また、サーバー自体が不正アクセスを受ける危険もあります。

確認したい対策としては、次のようなものがあります。

  • 部署・担当者ごとの閲覧権限
  • サーバーやAIモデルの更新管理
  • 操作履歴や監査ログの管理
  • バックアップと障害時の復旧手順
  • 外部通信や保守接続の管理

ラクラグには、資料ごとのアクセス権限、監査ログ、AIによる処理を隔離した環境で実行する仕組みなどが用意されています。

ただし、それらを適切に設定・運用することが重要です。

中小製造業ではどんな業務に使える?

① 設備トラブルの過去事例を検索する

設備が停止した際に、過去の修理報告書や点検履歴から似た事例を探す活用方法です。

例えば、故障した部品、過去の症状、対応内容を比較し、初動確認の参考にできます。

② 品質不良の報告書を整理する

品質不良の報告書、検査記録、対策会議の議事録などを横断的に検索し、類似する問題を整理する使い方です。

品質担当者が過去の情報を探す時間を短縮できる可能性があります。

③ 社内マニュアルの問い合わせに回答する

作業手順書、設備マニュアル、社内規程などをもとに、質問に回答する仕組みです。

ただし、古いマニュアルを参照して誤った回答をしないよう、資料の版数や有効期限を管理する必要があります。

ローカルLLM導入前に中小企業が確認すべき5つのこと

ステップ① AIに扱わせたい情報を整理する

まず、対象となる情報を洗い出します。

例えば、公開情報、社内限定情報、顧客との秘密保持契約がある資料、個人情報などに分けて考えましょう。

すべての情報を同じAIに入れるのではなく、機密性に応じた管理が必要です。

ステップ② AIに任せる業務を一つ決める

最初から全社の資料をAIに取り込む必要はありません。

「設備保全マニュアルの検索」「品質報告書の集計」など、効果を測定しやすい業務から始めましょう。

ステップ③ クラウド型とローカル型を比較する

社内情報を扱うからといって、必ずローカルLLMが最適とは限りません。

例えば、企業向けクラウドサービスで情報管理要件を満たせる場合は、初期投資を抑えて始められる可能性があります。

一方、契約や社内規程によって外部送信が認められない情報を扱う場合は、ローカル型が有力な選択肢になります。

ステップ④ 費用対効果を比較する

ローカルLLMは、専用サーバーの費用や保守負担などを考慮する必要があります。

今回のラクラグは、専用サーバーとソフトウェアを組み合わせた買い切り型で、価格は構成に応じた個別見積もりです。

導入費用だけでなく、保守費用、ハードウェアの更新、AIモデルの更新なども比較しましょう。

DX担当 ちゃま男

買い切り型なら、毎月のAI利用料金を気にしなくてもいいんですか?

ちゃま男の先輩

API利用料のような従量課金を抑えられる構成もあるけれど、サーバーの電気代や保守費用は必要だよ。
だから、単純に「買い切りだから安い」とは判断できないんだ。

ステップ⑤ 小規模に試して精度を確認する

導入前には、実際の資料を使って検証することが重要です。

例えば、過去に担当者が回答した質問を20〜30問程度用意し、AIの回答と比較する方法があります。

確認する項目は、回答の正確性、参照した資料の適切さ、検索時間、作業時間の削減効果などです。

その結果をもとに、本格導入する価値があるか判断しましょう。

まとめ|AIを安全に使うには、データ管理と運用体制が重要

今回のラクラグの発表は、社内資料を活用するAIが、単なる質問回答から、調査・集計・資料作成まで進化していることを示しています。

また、社内にサーバーを設置してAIを動かす方式は、機密情報を外部へ送信できない企業にとって重要な選択肢となります。

ただし、ローカルLLMを導入すれば自動的に安全になるわけではありません。

どの情報をAIに渡し、誰が使い、どのように管理するのか。

このルールが整っていてこそ、AIを安心して業務に活用しやすくなります。

まずは、自社の情報管理の状況と、AIで改善したい業務を整理するところから始めてみましょう。

AI導入に向けた準備状況を確認したい方は、AI READY診断 for 製造業(無料・全10問)も参考にしてください。

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