「商品を買うとき、SNSの口コミやインフルエンサーの紹介を参考にする」
これまでは、そのような消費行動が広く見られました。
しかし、生成AIの普及によって、商品やサービスを調べる方法に変化が起きています。
例えば、ChatGPTなどの生成AIに「自分に合った商品を教えて」「この2つの商品は何が違うの?」と質問する使い方です。
2026年11月5日、サイバーエージェントが公表した調査では、商品・サービス情報に対する
生成AIの回答への信頼度が44.9%となり、インフルエンサーや芸能人の紹介・投稿の37.7%を上回りました。
ただし、すべての若者が生成AIを最も信頼しているわけではありません。
さらに、企業の公式サイトや店員の説明は、生成AIより高い信頼度を示しています。
この調査から、中小企業は何を学び、自社の商品・サービスに関する情報発信をどう見直すべきなのでしょうか。
最新データをグラフで確認しながら、具体的な対策を考えていきます。
サイバーエージェントが「若者の生成AI利用実態調査」を発表
2026年11月5日、株式会社サイバーエージェントの次世代生活研究所は、「若者の生成AI利用実態調査」の第4回を発表しました。
今回のテーマは、生成AIが消費行動に影響する理由です。
調査概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年11月5日 |
| 調査期間 | 2026年7月13日〜31日 |
| 調査対象 | 全国の生成AI利用者(小学生からゆとり世代) |
| 有効回答数 | 1,648人 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 実施機関 | サイバーエージェント次世代生活研究所 |
※15歳未満については保護者による代理・同席回答を含みます。
ここで注意したいのは、調査対象が生成AIを利用している人に限定されていることです。
したがって、今回の結果を日本の若者全体、あるいはすべての消費者の傾向として解釈することはできません。
参考:サイバーエージェント「若者の生成AI利用実態調査」第4回(2026年11月5日)
商品情報への信頼度、生成AIは44.9%でインフルエンサーを上回る
まず、商品やサービスに関する情報を、どの情報源から得ると信頼できると感じるのかを確認しましょう。
調査結果は次のとおりです。

※サイバーエージェント公表値。グラフでは情報源の名称を一部短縮しています。
この結果から、生成AIへの信頼度が、インフルエンサーや芸能人の情報を上回っていることがわかります。
生成AIは、商品を比較したり、自分の条件に合ったものを探したりする際の情報源として一定の信頼を得ていると考えられます。
実は、企業公式サイトの信頼度は生成AIより高い
今回の調査で、もう一つ注目したい点があります。
それは、企業公式サイトや店員の説明への信頼度が55.8%で、生成AIの44.9%を上回っていることです。
生成AIの普及によって、企業のホームページの重要性がなくなるわけではありません。
むしろ、自社の商品やサービスに関する正確な情報を公開し続けることは、これからも重要だと考えられます。
ただし、今回の数値だけで「公式サイトを充実させればAIに紹介されやすくなる」と証明されたわけではありません。
AIサービスによって、参照する情報源や回答の仕組みは異なります。
DX担当 ちゃま男先輩!AIの方がインフルエンサーより信頼されているなら、もう会社のホームページは必要なくなるんですか?
ちゃま男の先輩そういうわけではないよ。今回の調査では、企業の公式サイトや店員の説明の方が生成AIより高い信頼度になっているんだ。
DX担当 ちゃま男なるほど!AIを利用する人が増えても、企業が正しい商品情報を公開することは大事なんですね!
世代別に比較すると、結果はさらに興味深い
今回の調査では、生成AIとインフルエンサーに対する信頼度を世代別にも比較しています。
結果は次のとおりです。

注目したいのは、世代によって結果が異なることです。
α世代では、インフルエンサーへの信頼度が生成AIをわずかに上回っています。
一方、Z世代では生成AIが6.3ポイント、ゆとり世代では15.0ポイント上回っています。
「若い世代ほどAIを信頼する」とは限らない
この結果をもう少し詳しく見ると、興味深い特徴があります。
生成AIへの信頼度は、α世代48.0%、Z世代46.4%、ゆとり世代41.2%と、世代が上がるにつれて緩やかに低下しています。
一方、インフルエンサーへの信頼度は、49.6%から26.2%まで大きく低下しています。
つまり、世代間の違いは、生成AIへの信頼が一方的に高まっているというより、インフルエンサーへの信頼度の差が大きく影響しています。
そのため、「若者は全員AIを信頼するようになった」という単純な結論にはできません。
企業が情報発信を考える際も、年齢だけで顧客の行動を決めつけず、どのような情報を必要としているかを確認することが大切です。
生成AIは、商品を知る段階より「購入を決める段階」で存在感を示す
今回の調査と合わせて確認したいのが、2026年10月16日に公表された同調査の第3回です。
この調査では、Z世代の商品購入を次の4段階に分け、情報チャネルの利用状況を確認しています。
- 商品を知る
- 商品について深く調べる
- 購入を後押しする
- 購入の決め手となる
その結果、生成AIは商品を「知る」段階では、10種類の情報チャネルの中で10位でした。
一方、「購入の決め手」の段階では4位となっています。
ここには重要なポイントがあります。
生成AIは、商品の存在を最初に知るきっかけとしては、SNSなどより利用順位が低いものの、購入の判断を考える段階では相対的な存在感が高まっています。
ただし、利用率自体は「知る」段階の37.6%に対して「購入の決め手」の段階は33.3%であり、増加したわけではありません。
上昇したのは情報チャネル間の順位であって、生成AIの利用率そのものではない点に注意が必要です。
参考:サイバーエージェント「生成AIが消費に効くタイミング」(2026年10月16日)
DX担当 ちゃま男先輩!ということは、SNSで商品を知って、買う前にAIで詳しく調べる人もいるんですね!
ちゃま男の先輩そうした使い方は考えられるね。ただし、この調査は全員が同じ順番で行動していると示したものではないよ。
DX担当 ちゃま男なるほど。商品を知ってもらう情報と、購入を判断するための情報では、役割が違うんですね!
ちゃま男の先輩そのとおり。企業側も、商品を紹介するだけでなく、比較するときに必要な詳しい情報を用意することが大切になるね。
AIへの親しみと、購入経験にも関係が見られた
11月5日の調査では、生成AIを友達や相談相手のように感じているかどうかと、AIをきっかけに商品を購入した経験との関係も調べています。
例えば、Z世代では、生成AIを友達のように感じる層の26.6%が、生成AIに後押しされて購入した経験があると回答しました。
一方、友達のように感じない層では15.0%でした。
両者には11.6ポイントの差があります。
ただし、これは回答者の特徴と購買経験の関連を示すものであり、AIへの親しみが購入を直接引き起こしたと証明するものではありません。
企業にとっては、消費者が生成AIを情報検索の道具としてだけでなく、相談相手として利用するケースがあることを理解する材料になります。
中小企業の商品・サービスの情報発信にどんな影響がある?
ここからは、今回の調査を踏まえたDXブログ独自の考察です。
商品やサービスを比較・検討する際にAIを利用する人が増えれば、企業の情報発信にも変化が求められる可能性があります。
特に重要なのは、単に商品の魅力をアピールするだけでなく、顧客が比較・判断するために必要な情報を公開することです。
① 商品の特徴だけでなく、具体的な用途を説明する
例えば、製造業向けの設備管理システムを販売している会社を考えてみましょう。
ホームページに「設備保全を効率化できるシステムです」とだけ書かれていても、購入を検討する企業は十分に判断できません。
そこで、次のような情報を用意します。
- どのような設備や業務に対応しているのか
- どんな課題を解決できるのか
- 現場ではどのように利用するのか
- 導入前に必要な準備は何か
- どのようなケースには向いていないのか
こうした具体的な情報は、人間が商品を比較するときにも役立ちます。
② 料金や利用条件、制約をわかりやすくする
商品情報を発信する際、メリットばかりを強調してしまうことがあります。
しかし、購入を検討する人にとっては、料金や制約条件も重要です。
例えば、クラウドサービスであれば、次のような情報です。
| 情報 | 掲載内容の例 |
|---|---|
| 料金 | 初期費用・月額料金・追加費用 |
| 利用条件 | 対象プラン・契約単位・利用人数 |
| 対応範囲 | できること・できないこと |
| 導入準備 | 必要な環境・初期設定 |
| サポート | 対応時間・問い合わせ方法 |
| 更新情報 | 最新仕様・更新日 |
料金を個別見積もりとしている場合でも、何によって費用が変わるのかを説明すると、検討しやすくなります。
③ よくある質問を充実させる
生成AIの利用場面では、利用者が具体的な質問をすることがあります。
例えば、次のような質問です。
「小規模な製造工場でも使えますか?」
「既存のExcelデータを取り込めますか?」
「導入後の保守は必要ですか?」
こうした疑問に対して、自社の公式サイトで正確な回答を公開しておくことは、顧客にとって有益です。
ただし、FAQを追加したからといって、その内容が必ず生成AIの回答に使われるわけではありません。
AIから参照されるかどうかとは別に、顧客が必要な情報へ到達しやすくすること自体に価値があります。
AI時代にSEOは不要になるのか?
「AI検索が普及するなら、これまでのSEOは必要なくなるのでは?」
こうした疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし、Googleは公式ドキュメントで、AIによる概要やAIモードに対しても、従来のSEOの基本的な考え方が有効であると説明しています。
例えば、次のような対策です。
- 検索エンジンがページを取得できるようにする
- 重要な情報をテキストで掲載する
- 内部リンクによってページを見つけやすくする
- ユーザーに役立つ独自の情報を提供する
- ページの内容と構造化データを一致させる
構造化データとは、商品情報や企業情報などを、検索エンジンが理解しやすい形式で記述する仕組みです。
ただし、GoogleはAI検索向けに特別な最適化を行う必要はないと説明しており、検索結果への掲載を保証しているわけでもありません。
また、Google検索のAI機能に関する説明を、ChatGPTなどすべての生成AIサービスにそのまま当てはめることはできません。
DX担当 ちゃま男先輩!AIに自社の商品を紹介してもらいたいなら、AI専用の対策をしないといけないんですか?
ちゃま男の先輩まずは公式サイトの情報を正確でわかりやすいものにすることが重要だよ。Googleも、AI検索のためだけの特別な裏技より、基本的なSEOや役立つ情報の提供を重視しているんだ。
DX担当 ちゃま男なるほど!AIのためだけじゃなくて、お客様が商品を理解しやすいホームページにすることが大切なんですね!
BtoB製造業でも同じ変化が起きるのか?
今回の調査は、生成AIを利用する若い世代の商品・サービス情報に対する信頼度を中心に調べたものです。
したがって、調査結果をそのままBtoBの製造業に当てはめることはできません。
製造業の設備や業務システムは、個人の買い物とは判断基準が異なります。
例えば、設備を導入する際には、性能や精度だけでなく、安全性、保守体制、既存設備との互換性、投資回収なども考慮する必要があります。
また、購入の意思決定には複数の担当者が関わる場合があります。
一方、情報収集や比較の段階で生成AIを活用することは、BtoBでも考えられる使い方です。
例えば、担当者がAIに「設備点検システムを比較するときの確認項目を教えて」と質問するようなケースです。
このような利用が進む場合、企業にとって重要になるのは、自社の商品について、顧客が判断できるだけの正確な情報を公開しているかどうかです。
今回の消費者調査は、その可能性を考えるきっかけとして参考になります。
中小企業は何をすべきか?情報発信を見直す5つの対策
STEP1:自社の商品情報を見直す【最優先】
まずは、自社のホームページを確認しましょう。
顧客が商品やサービスを比較するときに必要な情報が掲載されているかを確認します。
特に、商品仕様、料金、用途、対応範囲、制約条件、問い合わせ方法などが重要です。
情報が古くなっている場合は、優先的に修正します。
STEP2:顧客が疑問に思うことをFAQにする
営業担当者やサポート担当者に、顧客からよく聞かれる質問を確認します。
例えば、次のようなものです。
- 他社製品との違いは何か
- 導入にはどのくらい時間がかかるか
- 自社の業務に対応できるか
- 導入後にどのような費用がかかるか
- サポートはどこまで受けられるか
これらを整理し、公式サイト上で回答できるようにします。
STEP3:実績や客観的な情報を充実させる
商品やサービスの説明では、抽象的な表現だけでなく、具体的な根拠を示すことが重要です。
例えば、実際の導入事例、検証結果、対応している製品の仕様などです。
ただし、削減時間や導入効果などの数値を紹介する際には、実績なのか試算なのかを明確にしましょう。
他社の事例を自社の実績のように紹介してはいけません。
STEP4:検索エンジンが情報を取得できるか確認する
ホームページの情報を充実させても、検索エンジンがページを取得できない状態では、検索経由の発見につながりにくくなります。
例えば、次のような点を確認します。
- 重要なページが検索エンジンに登録されているか
- robots.txtなどで意図せずアクセスを制限していないか
- 商品説明が画像だけでなくテキストでも掲載されているか
- 関連ページへの内部リンクが設定されているか
- スマートフォンでも読みやすいか
Google Search Consoleなどを利用して確認できます。
ただし、こうした設定を整えても、AIの回答への採用や検索順位の上昇が保証されるわけではありません。
STEP5:生成AIで自社商品がどう説明されるか確認する
最後に、ChatGPTやGeminiなどで、自社の商品やサービスについて質問してみる方法があります。
例えば、
「〇〇という製品はどのような用途に向いていますか?」
「〇〇を導入する際の注意点は何ですか?」
といった質問です。
回答に誤りがある場合は、まず公式サイトに正確な情報が掲載されているか確認しましょう。
ただし、AIの回答はモデル、検索機能、質問内容、利用環境などによって変わります。
また、公式サイトを修正しても、AIの回答がすぐに更新されるとは限りません。
あくまで情報発信の課題を見つけるための確認方法として活用することが重要です。
まとめ|AI時代こそ、信頼できる一次情報が重要になる
今回のサイバーエージェントの調査では、生成AIへの信頼度が44.9%となり、インフルエンサーや芸能人の情報を上回りました。
一方、企業公式サイトや店員の説明は55.8%と、生成AIよりも高い信頼度を示しています。
また、世代によって生成AIへの信頼度には違いがあり、すべての若者が同じようにAIを利用しているわけではありません。
中小企業にとって重要なのは、次の4つのポイントです。
- 生成AIも商品比較・検討の情報源になりつつある
- 企業公式サイトは引き続き重要な情報源である
- 商品の特徴だけでなく、判断材料となる詳しい情報が必要になる
- 顧客にとって有益で正確な情報を継続して更新することが重要である
生成AIの普及によって、企業の情報発信方法は今後も変化していく可能性があります。
しかし、どのような方法で情報を探す場合でも、正確な商品情報が重要であることに変わりはありません。
AIに紹介されることを目的にする前に、顧客が安心して商品を比較・判断できる情報を整える。
まずは自社の主力商品を1つ選び、ホームページに必要な情報が揃っているか確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- サイバーエージェント「若者の生成AI利用実態調査」第4回(2026年11月5日)
- サイバーエージェント「若者の生成AI利用実態調査」第3回(2026年10月16日)
- Google検索セントラル「AI機能とウェブサイト」
※本記事は2026年11月6日時点の公開情報をもとに作成しています。本文中の中小企業やBtoB製造業への影響は、調査結果を踏まえた独自の考察を含みます。

