「食品工場の作業手順が、ベテラン社員の経験に依存している」
「新人教育に時間がかかっている」
「作業手順書はあるけれど、現場で十分に活用されていない」
こうした悩みを抱える食品工場に関係するニュースです。
2026年9月2日、雪印メグミルクは、自社工場の改善ノウハウを活用したデジタル日報サービス「Totonoworks(トトノワークス)」の販売開始を発表しました。
同社の発表によると、自社工場では2024年度に、2021年度と比較して教育・訓練時間を約50%短縮したとしています。
今回は、Totonoworksの特徴と、食品製造業が作業標準化を進めるためのポイントを解説します!
雪印メグミルクが開発したTotonoworksとは?
DX担当 ちゃま男先輩!雪印メグミルクが工場向けのDXサービスを販売するんですか?
ちゃま男の先輩そうなんだ。
自社工場で培ってきた作業改善のノウハウを、他の製造現場でも利用できるサービスとして展開する取り組みなんだよ。
作業手順の案内と記録を一体化
Totonoworksは、作業手順の案内と記録業務を一体化するデジタル日報サービスです。
例えば、製造作業の手順や確認事項を画面に表示し、作業者が順番に進められるように支援します。
作業内容を確認しながら記録も行えるため、紙の手順書と記録用紙を別々に使用する負担を減らせる可能性があります。
教育・訓練時間を約50%短縮
雪印メグミルクの発表では、自社工場において教育・訓練時間の短縮効果を確認したとしています。
| 項目 | 発表内容 |
|---|---|
| サービス | Totonoworks |
| 発表日 | 2026年9月2日 |
| 主な用途 | 作業手順の案内と記録 |
| 教育・訓練時間 | 約50%短縮 |
| 比較条件 | 自社工場の2024年度実績・2021年度比 |
教育時間の短縮は同社工場で確認された実績であり、すべての工場で同じ効果が得られるという意味ではありません。
出典:雪印メグミルク公式|Totonoworks販売開始のお知らせ
食品工場で作業手順の標準化が重要な理由
食品製造業では、製造条件や衛生管理など、作業者が守るべき手順が数多くあります。
例えば、原材料の投入、温度確認、設備の清掃、製造開始前の点検などです。
① 作業者による手順の違いを減らす
作業方法が担当者によって異なれば、品質のばらつきにつながる可能性があります。
標準的な手順を明確にし、誰が担当しても同じ基準で作業できる状態を目指すことが重要です。
② 新人教育の負担を減らす
新人が作業する際に、毎回ベテラン社員が説明しなければならない状態では、教育担当者の負担が大きくなります。
作業手順や注意点を整理し、現場で確認できる仕組みを用意することで、教育を支援できます。
③ 実施記録を残して改善につなげる
作業手順を案内するだけでなく、実際に作業した結果を記録することも重要です。
例えば、作業日時、担当者、確認結果、異常の有無などです。
こうした情報を蓄積することで、作業の実施状況や改善が必要な工程を確認しやすくなります。
DX担当 ちゃま男つまり、紙の手順書をPDFにするだけでは不十分なんですね。
ちゃま男の先輩そうだね。
大切なのは、現場で正しい手順を確認できて、実施した結果も記録できることなんだ。
中小食品工場では何から電子化すべき?
いきなり工場全体の作業手順をデジタル化する必要はありません。
まずは、記録漏れや確認ミスが発生しやすい業務、教育に時間がかかる業務から見直しましょう。
例えば、次のような帳票です。
- 製造開始前の点検表
- 原材料の受入検査表
- 設備の清掃記録
- 温度管理記録
- 品質検査表
- 異常発生時の報告書
これらの帳票を電子化することで、記録内容の共有や確認を効率化できる可能性があります。
関連サービス|i-Reporterで現場の記録業務を電子化
Totonoworksの特徴である作業手順の案内と記録の一体化は、食品工場の業務標準化を考えるうえで参考になります。
一方、すでに紙やExcelの帳票を使用している企業では、現在の記録業務を電子化するところから始める方法もあります。
ラック・インターナショナル株式会社では、i-Reporterを活用した製造日報・点検表・品質検査表などの電子化を支援しています。
既存のExcel帳票を活かして、タブレットで入力できる帳票へ移行することが可能です。
入力項目の設定や計算、チェック、必須入力などの機能を活用し、現場の記録業務を改善することができます。
ただし、i-Reporterによる帳票電子化と、Totonoworksが提供する作業案内・手順管理は、同一の機能ではありません。
必要な作業案内の範囲や、既存システムとの関係を整理し、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
▶ i-Reporterによる製造日報・点検記録の電子化サービスを見る
電子化した後の「現場定着」も重要
業務システムは、導入しただけで成果が出るわけではありません。
特に、日々利用する現場帳票では、作業者が無理なく使い続けられることが重要です。
例えば、次のような課題が発生することがあります。
- 入力画面が複雑で使いにくい
- 帳票の項目を変更できる担当者がいない
- 現場からの質問に対応できない
- 紙の運用が残り、二重管理になっている
- データを記録しているだけで活用できていない
こうした問題がある場合は、帳票設定や運用ルールを継続的に見直す必要があります。
関連サービス|i-Reporter導入後の運用サポート
ラック・インターナショナルでは、すでにi-Reporterを導入している企業向けに、帳票改善や運用相談を行うサポートサービスも提供しています。
操作方法の相談、帳票項目の見直し、現場への定着支援、データ活用の方向性などについて相談できます。
社内に専任のIT担当者がいない企業でも、運用改善を継続できる体制づくりを支援しています。
▶ i-Reporter運用サポート|サービス内容・無料体験を見る
※帳票作成代行や個別のシステム連携開発などは、相談内容によって別途費用が必要になる場合があります。
食品工場が作業標準化を進めるための4つのステップ
① 作業者によって手順が異なる業務を洗い出す
例えば、設備の立ち上げ、原材料投入、清掃、品質確認などです。
作業内容を整理し、標準化する優先順位を決めましょう。
② 正しい手順と異常時の対応を明確にする
正常時の手順だけでなく、異常が発生した場合にどう対応するかも整理します。
例えば、温度が管理基準を外れた場合の処置などです。
③ 一つの工程で試験運用する
最初は一つの製造工程から始め、作業者にとって使いやすいか確認しましょう。
教育時間、記録漏れ、作業の手戻りなどを比較すると効果を判断しやすくなります。
④ 手順の更新・管理責任者を決める
作業方法が変更された場合、誰が手順を更新し、誰が承認するのかを明確にしましょう。
古い手順が現場に残らないよう、版数の管理も重要です。
まとめ|食品工場DXは「記録」と「作業標準化」の両方が重要
今回の雪印メグミルクの発表は、自社工場で培った改善ノウハウをデジタルサービスとして展開する取り組みです。
同社工場では、教育・訓練時間の約50%短縮という効果を確認しています。
ただし、重要なのは特定の製品を導入することだけではありません。
現場の作業手順を整理し、誰が担当しても同じ基準で作業できる状態を整えることが重要です。
さらに、作業した結果をデータとして蓄積し、改善活動へつなげることも求められます。
食品工場のDXでは、現場で正しく作業できる仕組みと、記録を活用できる仕組みを両立させることが重要です。
まずは自社の作業手順書や製造記録を確認し、改善できる部分を探してみましょう。
参考資料
※本記事は2026年11月3日時点の公開情報に基づいています。

