2026年10月、Webサイトや業務システムなどに広く使われている「PHP」に、重大なセキュリティ上の問題が発見されました。
PHPは多くの企業で利用されていますが、「PHPという名前を初めて聞いた」という方も少なくないと思います。
また、セキュリティ対策としてPHPのバージョンアップが推奨されていますが、古いWebサイトや業務システムでは、PHPを更新するだけでは正常に動作しなくなる場合があることをご存じでしょうか?
今回は、DX担当のちゃま男と先輩の会話を交えながら、身近な例え話や具体的な事例を使って解説していきます。
そもそもPHPって何?
DX担当 ちゃま男先輩!最近、PHPに重大なセキュリティ問題が見つかったというニュースを見ました!そもそもPHPって何なんですか?
ちゃま男の先輩ちゃま男くん、PHPはWebサイトや業務システムを動かすためのプログラミング言語の一つなんだよ。
例えば、ホームページのお問い合わせフォーム、ネットショップ、予約管理システムなんかにも使われているんだ。
DX担当 ちゃま男えっ!じゃあ、自分たちが普段使っているWebサイトにも関係しているかもしれないんですね!
ちゃま男の先輩そうなんだ。しかも、世界中で使われているWordPressというホームページ管理システムもPHPで動いているんだよ。
だから、今回のニュースは決してIT企業だけの問題ではないんだ。
今回発見されたPHPのセキュリティ問題とは?
2026年10月21日、PHPの開発元から重大な脆弱性(ぜいじゃくせい)が2件公表されました。
「PHP2Shell」と呼ばれる問題です。
脆弱性とは、簡単に言えばシステムに存在するセキュリティ上の弱点のことです。
今回の問題では、一定の条件下で悪意のある第三者が、ログインすることなくサーバー上で不正なプログラムを実行できる可能性があります。
最悪の場合、Webサイトの改ざんや情報の窃取などにつながるおそれがあります。
身近な例で考えてみましょう!
例えば、会社の建物に「外部から侵入できてしまう危険な裏口」が見つかったような状態を想像してください。
これまでは普通に使えていた建物でも、裏口の鍵に問題があれば、いつ侵入されるかわかりません。
今回のPHPの問題も、これに似ています。
DX担当 ちゃま男なるほど!見た目は普通のホームページでも、裏側に危険な問題が隠れているかもしれないんですね。
ちゃま男の先輩その通り。
ただし、PHPを使っているすべてのシステムが必ず被害を受けるという意味ではないよ。
使用しているバージョンやサーバー環境を調べて、影響の有無を確認することが重要なんだ。
なお、2026年10月26日には米国CISAの「悪用が確認された脆弱性」の一覧にも追加されています。国内での被害事例については、10月27日時点でIPAは把握していないとしていますが、早急な対応が推奨されています。
PHPを最新にすれば、それですべて解決?
DX担当 ちゃま男じゃあ先輩!建物の裏口を修理するように、PHPも新しいバージョンに更新すれば解決ですよね!
ちゃま男の先輩セキュリティの問題を解消するためには、修正済みのPHPへの更新が必要だよ。
でも、ここで気をつけなければならないことがあるんだ。
PHPをバージョンアップしたことで、今まで使えていたシステムが動かなくなる場合があるんだよ。
DX担当 ちゃま男えーっ!安全にするために更新したのに、システムが動かなくなることがあるんですか!?
例えば、スマートフォンで考えてみよう!
みなさんも、スマートフォンのOS(iOSやAndroid)をアップデートした経験があると思います。
OSをアップデートすると、新しい機能が使えるようになったり、セキュリティが強化されたりしますよね。
ところが、古いアプリの中には、新しいOSに対応していないものがあります。
その結果、アップデート後にアプリが起動しなくなったり、一部の機能が使えなくなったりすることがあります。
PHPとWebシステムの関係も、これによく似ています。
- スマートフォンのOSに相当するもの → PHP
- スマートフォン上で動くアプリに相当するもの → PHPで作られたWebシステム
- OSのアップデート → PHPのバージョンアップ
- アプリの更新 → Webシステムのプログラム修正
つまり、PHPというシステムの土台が新しくなっても、その上で動くプログラムが新しい環境に対応していなければ、正常に動かない場合があるのです。
DX担当 ちゃま男なるほど〜!スマホのOSだけ新しくしても、昔のアプリが対応できないことがあるのと同じなんですね!
ちゃま男の先輩そういうこと!
だからPHPの更新では、「PHP本体のセキュリティ対策」と「既存プログラムの動作確認」をセットで考えることが大切なんだよ。
実際にどんな問題が起きるの?具体例を紹介!
ここでは、企業で起こり得るトラブルを2つ紹介します。
※以下は仕組みをわかりやすく説明するための想定事例です。
事例① ホームページのお問い合わせフォームが使えなくなった!
ある会社では、何年も前に制作したホームページを使用していました。
セキュリティ対策のため、サーバーのPHPを古いバージョンから新しいバージョンへ変更しました。
すると……
ホームページ自体は問題なく表示されるのに、お問い合わせフォームの送信だけができなくなってしまいました。
原因を調べると、フォームで使用していた古いプログラムが、新しいPHPに対応していなかったのです。
結果として、プログラムの修正や動作確認が必要になりました。
もし、この状態に気づかず運用していたらどうなるでしょうか?
お問い合わせが届かなくなり、見込み顧客からの相談や商談の機会を失ってしまう可能性もあります。
DX担当 ちゃま男これは怖いですね……。ホームページが表示されていれば大丈夫だと思ってしまいそうです。
ちゃま男の先輩そうなんだ。だからPHPの更新後は、画面が表示されるかどうかだけでなく、フォームの送信やデータ登録など、実際の機能まで確認する必要があるんだよ。
事例② 長年使っていた社内の業務システムが動かなくなった!
次は製造業の会社を例に考えてみましょう。
ある製造会社では、10年前に開発した生産管理システムを使用していました。
毎日の生産実績や作業進捗などを登録する、大切な業務システムです。
ところが、PHPを古いバージョンから新しいバージョンへ更新したところ、一部の画面でエラーが発生するようになりました。
原因は、プログラム内に古いPHPで使用できた機能が残っていたことでした。
例えば、PHPには以前 each() という関数がありましたが、PHP 8.0で削除されています。
古いシステムがこの関数を使用していた場合、そのままでは新しいPHPで動作しません。
このような問題は、PHPを新しくするだけでは解決せず、プログラムの修正が必要になります。
DX担当 ちゃま男社内のシステムだと、仕事そのものが止まってしまう可能性もあるんですね。
ちゃま男の先輩その通り。
だから長年使用している業務システムほど、事前にプログラムの内容や互換性を確認することが重要なんだ。
さらに注意!PHPを更新しても残るセキュリティ問題
DX担当 ちゃま男先輩、PHPを更新して、プログラムも正常に動けば、もう安心ですよね?
ちゃま男の先輩それだけでは、まだ十分とは限らないんだ。
例えば、スマホのOSを最新にしても、使っているアプリ自体にセキュリティ上の問題があれば、その危険が自動的になくなるわけではないよね。
Webシステムでも同じことが言えるんだ。
PHP本体の脆弱性を修正しても、WordPressのプラグインや、独自に開発したプログラムに別の弱点が残っていれば、そこから攻撃される可能性があります。
つまり、企業が考えるべき対策には、大きく3つの視点があります。
- PHP本体を安全な状態にすること
- 既存のプログラムが正常に動作すること
- プログラムやプラグイン自体にも脆弱性がないか確認すること
この3つは、それぞれ別の問題として確認する必要があるのです。
では、企業は何をすればいいの?
DX担当 ちゃま男じゃあ、どういう順番で対応するのがいいんでしょうか?
ちゃま男の先輩まずは、自社が使っているシステムの状況を把握することから始めよう。
企業が確認したい5つのポイント
① PHPを使用しているか確認する
自社のホームページやWebシステムでPHPが使われているか確認しましょう。
② PHPのバージョンを確認する
今回の脆弱性の影響を受けるバージョンなのか、修正済みかを確認しましょう。
③ 開発会社・保守会社に相談する
PHPの更新だけで対応できるのか、既存プログラムの修正が必要なのかを確認します。
④ 事前にバックアップと動作確認を行う
可能な限り検証環境で更新し、重要な業務機能を確認します。
⑤ 定期的な更新・保守の仕組みを整える
今回だけの対策で終わらせず、今後もセキュリティ更新に対応できる運用体制を整えましょう。
今回の脆弱性への対策済みバージョン
| PHPの系列 | 対策済みバージョン |
|---|---|
| PHP 8.2 | 8.2.35 |
| PHP 8.3 | 8.3.36 |
| PHP 8.4 | 8.4.27 |
| PHP 8.5 | 8.5.12 |
なお、すべてのPHP更新でプログラム修正が必要になるわけではありません。
例えば、同じ8.3系列でのセキュリティ更新では、既存コードを修正せずに対応できる場合もあります。一方、PHP 7からPHP 8への移行のように大きなバージョン変更では、互換性の確認が特に重要になります。
今回の脆弱性については対応を先延ばしにせず、修正済みバージョンへの更新を優先することが大切です。すぐに更新できない場合は、専門家や保守会社に相談して暫定的なリスク低減策を検討してください。
まとめ:動いていることと、安全であることは違う!
DX担当 ちゃま男先輩!今回の話を聞いて、PHPのアップデートって、思っていたより大切なことだとわかりました!
ただ新しくするだけではなく、今使っているシステムとの相性も大事なんですね。
ちゃま男の先輩そうだね。
そして、一番覚えておいてほしいのは、「今まで問題なく動いているから、安全とは限らない」ということなんだ。
何年も前に作ったホームページや業務システムを、当時の環境のまま使用している企業も少なくないよ。
DX担当 ちゃま男なるほど!DXを進めるためには、新しいシステムを導入するだけじゃなくて、今あるシステムを安全に使い続けることも必要なんですね!
ちゃま男の先輩その通り!
システムは一度作ったら終わりではなく、継続的に管理・更新していくことが大切なんだよ。
今回のPHPのセキュリティ問題をきっかけに、自社のWebサイトや業務システムがどのような環境で動いているのか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
安全に更新できる体制を整えることも、企業のDXを支える重要な取り組みです。
参考情報
※本記事は2026年10月28日時点の公開情報をもとに作成しています。


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