ChatGPTなどの生成AIが急速に普及し、文章作成や情報検索、資料の要約など、日常業務でAIを活用する機会が増えています。
ところが今、AIの使い方がさらに大きく変わろうとしています。
それが「AIエージェント」です。
2026年10月27日、Google Cloudは国内121社の生成AI活用事例をまとめた最新版を公開しました。その中には、AIが情報を検索・分析するだけでなく、業務プロセスの一部を実行する事例も紹介されています。
これまでの生成AIは、人間が質問すると答えてくれる「相談相手」のような存在でした。
一方、AIエージェントは、与えられた目標に向かって必要な情報を調べたり、他のシステムと連携したりしながら、仕事を進めることができます。
「普通のChatGPTと何が違うの?」
「AIが勝手に仕事をしてくれるの?」
「中小企業でも使えるの?」
今回は、DX担当のちゃま男と先輩の会話を交えながら、AIエージェントの仕組みと企業での活用方法をわかりやすく解説します!
AIが質問に答えるだけではなくなった!?
DX担当 ちゃま男先輩!最近ChatGPTを仕事で使うことが増えてきました!
メールの文章を考えてもらったり、会議の議事録をまとめてもらったり、本当に便利ですよね!
ちゃま男の先輩そうだね。でも、ちゃま男くん。最近はさらに進化して、AIが実際の業務を進める「AIエージェント」が注目されているんだよ。
DX担当 ちゃま男AIエージェント?
今までの生成AIと何が違うんですか?
ちゃま男の先輩簡単に言えば、今までのAIは「どうすればいいですか?」と聞くと答えてくれるものだったよね。
AIエージェントは、設定や権限が整っていれば「これをやっておいて」と頼むことで、必要な作業を実行することもできるんだ。
身近な例で考えてみましょう!
例えば、会社で新入社員に仕事をお願いする場面を想像してください。
これまでの生成AIは、質問すると仕事の進め方を詳しく教えてくれる先輩のような存在でした。
「今月の売上を分析する方法を教えてください」
と聞けば、Excelでの集計方法や分析のポイントを説明してくれます。
一方、AIエージェントは、仕事を依頼された担当者に近い存在です。
「今月の売上を分析して、先月との違いをまとめてください」
とお願いすると、権限のあるデータを確認し、集計・比較して、レポートを作成するところまで進められる場合があります。
DX担当 ちゃま男えっ!じゃあ、AIが実際にデータを調べて、レポートまで作ってくれるんですか!?
ちゃま男の先輩そうなんだ。ただし、AIが勝手にすべてのシステムを操作できるわけではないよ。
必要なデータへの接続や操作権限、実行するための仕組みを、あらかじめ用意する必要があるんだ。
生成AIとAIエージェントの違いとは?
もう少し具体的に比較してみましょう。
| 比較項目 | 一般的な生成AIチャット | AIエージェント |
|---|---|---|
| 主な役割 | 質問への回答や文章生成 | 目標に向けて作業を進める |
| 情報の取得 | 人が入力した情報などを使う | 許可されたシステムから情報を取得できる |
| 作業の進め方 | 人が都度指示することが多い | 複数の手順を計画・実行できる |
| 他システムとの連携 | 機能や設定による | ツール連携を前提に設計されることが多い |
| 人間の役割 | 指示と結果の確認 | 目標設定、権限管理、重要判断、結果の確認 |
※生成AIチャットにも、外部ツールの操作や複数ステップの処理を実行できる製品があります。両者は明確に分離された製品分類ではなく、機能や自律性の違いとして捉えるとわかりやすいでしょう。
DX担当 ちゃま男これまでのAIは仕事の相談相手、AIエージェントは仕事を手伝ってくれる担当者みたいなイメージですね!
ちゃま男の先輩そのイメージでいいと思うよ。
ただし、AIにも間違いはあるし、実行できる範囲も設定次第なんだ。
だから、人間による確認や承認が必要な仕事まで、無条件に任せてはいけないんだよ。
実際に企業ではどんなことが起きているの?
2026年10月27日にGoogle Cloudが公開した国内121社の生成AI活用事例集には、AIエージェントによる具体的な業務改善も紹介されています。
その中から、いくつかの事例を見てみましょう。
事例① データ分析が約8時間から約40分に!
GMOペパボ株式会社では、AIがデータベース上の情報を調べ、分析する仕組みを構築しました。
例えば「直近3か月で新規契約が伸びたプランと、その要因を分析して」と指示すると、AIが必要なデータを探索・分析します。
Google Cloudが公開した事例では、対象作業の時間が平均約8時間から約40分へと、約92%削減されたと紹介されています。
事例② 社内AIの回答品質を継続的に改善
製造業の株式会社荏原製作所では、社内AIの利用ログをAIエージェントが分析し、改善レポートを各担当者に配信する仕組みを構築しました。
その結果、AIが適切な回答を提供できているケースが50%から72%に向上したと紹介されています。
AIを導入するだけでなく、AIの利用結果を分析し、AIそのものを改善するという取り組みです。
事例③ 人間の確認を残しながら仕事を自動化
エイベックス株式会社では、AIエージェントが支払申請の一次チェックを行う仕組みを構築しました。
Google Cloudの紹介によると、ピーク時には1日約1,200件の申請をAIが一次チェックしています。
重要なのは、AIがすべてを最終決定しているわけではなく、人間による最終確認を組み合わせていることです。
DX担当 ちゃま男すごいですね!
しかも、単に文章を作ってもらうだけじゃなくて、実際の仕事の時間を減らしているんですね!
ちゃま男の先輩そうだね。
ただし、紹介した数値は各社の取り組みにおける成果だから、他の会社でも同じ効果が出るとは限らないよ。
大切なのは、AIを導入すること自体ではなく、どんな業務をどう改善するかなんだ。
中小企業なら、どんな仕事に使えるの?
DX担当 ちゃま男でも先輩、こういう仕組みって大企業だからできるんじゃないですか?
中小企業でも使えるんでしょうか?
ちゃま男の先輩もちろん検討できるよ。
特に、日々の業務データが整理されている会社なら、AIエージェントを活用できる場面はたくさん考えられるんだ。
例えば製造業なら、こんな使い方が考えられるよ。
活用例① 毎朝の生産状況をAIがチェック
ある製造会社では、日々の生産実績や不良件数を業務システムに登録しています。
AIエージェントと連携することで、次のような業務が考えられます。
- 毎朝、前日の生産実績を取得
- 生産計画と実績を比較
- 生産遅延や不良率の上昇を検出
- 注意すべき工程を整理
- 管理者へレポートを通知
担当者が毎朝システムを開き、データを集計する手間を減らせる可能性があります。
※異常の判定に使う数値基準などは、事前に明確にしておく必要があります。
活用例② 社内のノウハウを探して回答する
製造現場では、設備トラブルの対応履歴や作業手順など、多くのノウハウが蓄積されています。
例えば、過去のトラブル履歴やマニュアルが適切に管理されていれば、作業者がAIに質問することで、関連する対応事例を探してもらうことができます。
さらに、関連情報を整理して担当者に提示したり、必要な手続きを案内したりすることも考えられます。
ただし、設備の操作や安全に関わる判断は、AIの回答だけで決定せず、定められた手順と責任者の確認を優先することが重要です。
活用例③ 問い合わせ対応を効率化する
お客様から問い合わせがあった際、AIが社内のFAQや過去の問い合わせ履歴を検索して、回答案を作成します。
さらに、対応結果の記録案を作り、担当者が確認したうえで社内システムへ登録する、といった仕組みも考えられます。
DX担当 ちゃま男なるほど!中小企業でも、毎日繰り返している仕事をAIに手伝ってもらえるんですね!
ちゃま男の先輩そうなんだ。
ただし、これらはAIと業務システムを適切に連携させた場合の活用イメージだよ。
AIを契約するだけで、自動的に実現できるわけではないんだ。
でも、AIを導入すればすぐに使えるの?
DX担当 ちゃま男だったら、早速AIエージェントを導入したいです!
まず何をすればいいですか?
ちゃま男の先輩実は、その前に確認してほしいことがあるんだ。
それは、AIが仕事をするために必要な情報が、会社の中で整理されているかということなんだよ。
身近な例で考えてみましょう!
例えば、優秀な新入社員が会社に入ってきたとします。
仕事をお願いしたいのに……
- 作業手順書がどこにあるかわからない
- 顧客情報が担当者ごとのExcelに分かれている
- 過去のトラブル対応をベテラン社員しか知らない
- 同じ項目なのに部署ごとに名前が違う
こんな状況だったら、どうでしょうか?
いくら優秀な社員でも、正確に仕事を進めるのは難しいですよね。
AIエージェントでも同じです。
DX担当 ちゃま男たしかに!AIが優秀でも、必要な情報を見つけられなかったら仕事ができませんね。
ちゃま男の先輩その通り!
特に、紙の日報や担当者ごとのExcelなどに情報が分散していると、AIが必要なデータを取得しにくいんだ。
だから、AIを導入する前のデータ整備がとても重要なんだよ。
AIを活用しやすい状態とは?
例えば、次のような状態です。
- 必要な業務データがデジタル化されている
- 情報が整理され、検索できる
- 入力項目や名称が統一されている
- 情報が適切に更新されている
- AIから安全にアクセスできる仕組みがある
こうした土台が整っていれば、AIを活用できる可能性が広がります。
ただし、すべての情報を一つのシステムに集約する必要はありません。複数のシステムに分かれていても、安全に連携し、必要な情報を取得できる状態であれば活用できます。
AIに仕事を任せるときの注意点は?
DX担当 ちゃま男ここまでできるなら、いろいろな仕事を全部AIに任せたくなりますね!
ちゃま男の先輩便利だからこそ、そこには注意が必要なんだ。
AIは間違った判断をする可能性もあるし、システムを操作する権限を持たせれば、その操作によって実際のデータや業務に影響が出ることもあるからね。
例えば、在庫管理システムとAIを連携させる場合を考えてみましょう。
在庫数を確認し、不足している商品を知らせるだけなら、比較的影響を限定しやすいでしょう。
しかし、AIが自動的に発注を確定する仕組みでは、誤った判断によって不要な商品を大量に発注してしまうリスクもあります。
そのため、次のような考え方が重要になります。
① 最初は情報の取得や分析から始める
AIに任せる範囲を限定し、正しく情報を取得できるか確認します。
② 重要な処理には人間の承認を入れる
発注、支払い、顧客への正式回答、重要データの変更などは、人間が確認・承認する仕組みを検討します。
③ AIが何をしたのか記録する
実行した操作や判断に使った情報を確認できるようにし、問題発生時に原因を調べられるようにします。
④ 必要以上の権限を与えない
データの閲覧だけでよいAIに、削除や変更の権限まで与えないことが大切です。
中小企業は何から始めればいい?
DX担当 ちゃま男先輩!AIエージェントを使うために、まずは会社の情報を全部デジタル化しないといけないんでしょうか?
ちゃま男の先輩最初から全部やろうとする必要はないよ。
まずは、身近な一つの業務から始めるのがおすすめなんだ。
例えば、次のような順番が考えられるよ。
ステップ① データを蓄積する
紙やExcelなどに分散している情報のうち、対象業務に必要なものを整理・デジタル化します。
ステップ② AIで必要な情報を探せるようにする
整理された業務データやマニュアルを検索し、AIが根拠を示しながら回答できる仕組みを検討します。
ステップ③ AIから必要な情報を届ける
異常値や対応が必要な案件などを検出し、担当者に通知する仕組みへと発展させます。
ステップ④ 承認付きで業務の一部を実行する
十分に検証したうえで、AIが入力案を作成したり、担当者の承認後にシステムへ登録したりする仕組みを検討します。
DX担当 ちゃま男なるほど!いきなり全部を自動化しようとするんじゃなくて、少しずつAIができる仕事を増やしていくんですね!
ちゃま男の先輩そういうこと!
大切なのは、新しい技術を導入すること自体を目的にしないことなんだ。
まずは業務の課題を明確にして、AIによってどのくらい改善できるかを確認することが重要だよ。
まとめ:AIの進化に合わせて、企業側も準備が必要!
DX担当 ちゃま男先輩!AIがここまで進化しているとは驚きました!
これからは、AIに何を質問するかだけでなく、AIにどんな仕事を任せるかを考える時代なんですね!
ちゃま男の先輩その通り!
ただ、AIがどれだけ進化しても、会社の業務や情報が整理されていなければ、その能力を十分に生かせないんだ。
DX担当 ちゃま男ということは、AIを導入する前に、自社がAIを使える状態になっているか確認することも大切なんですね!
ちゃま男の先輩そうだね!
これからのDXは、単に紙をデジタル化するだけではなく、蓄積したデータをAIが活用できる状態にして、実際の業務改善につなげていくことが重要なんだよ。
生成AIは、質問に答えるだけのツールから、実際の業務を支援・実行する仕組みへと進化しています。
しかし、AIを導入することと、企業の業務が改善することは同じではありません。
大切なのは、自社のどの業務にAIを活用するのかを明確にし、そのために必要なデータや業務の仕組みを整えることです。
「AIで何ができるか」だけでなく、「自社はAIを活用できる状態になっているか」。
これからAI活用を検討する企業は、まずこの視点で自社の業務を見直してみてはいかがでしょうか。
関連情報:自社のAI活用準備を確認したい方へ
ラック・インターナショナルでは、製造業の企業がAI活用に向けた準備状況を確認できる「AI READY診断 for 製造業」を公開しています。
全10問の診断を通して、自社の現在地と、次に取り組むべき課題を整理できます。

参考情報
- Google Cloud:最新生成AI活用事例121社を公開(2026年10月27日)
- Google Cloud:AIエージェントとは?
- IPA:DX動向2026
- IPA:デジタルスキル標準ver.2.0
※本記事は2026年10月28日時点の公開情報に基づいて作成しています。企業の導入効果は個別の事例であり、すべての企業で同様の成果が得られることを保証するものではありません。


コメント